project史縫というシリーズについてまとめたwikiです。

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「銅錆。久しぶりね」

 錆びついたトタンの倉庫から出てきたのは、「AKANO」と書かれたネームプレートを持つ誰か。その人の元へ銅錆は歩み寄り、顔一つ分というところまで近づいた。
 
「こいつがお前に用事があるらしい。それじゃ」

 その言葉だけを残して、目を離した時にはすでにいなかった。

「やれやれ。あいつは昔から変わらないな……。 で、お前が静華か。いらっしゃい」

 そう言い、手招きして倉庫のほうへと向かっていった。
 少し困惑しながらも、私も倉庫へと駆けていた。



◆◇◆ ◆◇◆



 倉庫の中には、色とりどりのカゴに入れられた野菜や果物が詰められている。
 大根、キャベツ、みかん……
 どれも色が鮮やかで丁寧に作られたことが見て取れる。

 その様子を横目に、私はさきほどの人についていく。その先は、綺麗に整頓された部屋が広がっていた。

「紹介が遅れたけど、私は紅乃。農業地区の管理者ね。覚えておいて」
「はい……あ、それで……」
「鉱沙からでしょ? だいたいのことは聞いてるよ」
「そうです。この書類を……」

 薄茶色のA4封筒をわたす。ぎっしりと書類が詰まっているのか結構重い。
 紅乃さんは受け取ると丁寧に封筒を開封した。中から数十枚の紙と黒い箱が出てきた。

「『未知の鉱石について』……か。やれやれ、石についてはお前の方が詳しいだろ」
「未知の……鉱石……?」
「そうらしいぞ。……どうやら所持者が変わるごとに色が変化するらしい。試しに持ってみてくれないか?」

 そう言って、白い机の上に黒い箱を置いた。どこにも文字は書いておらず、黒一色で染まっている。
 その箱をゆっくりと手に運び、心臓の鼓動を感じながら箱を開ける。

 綺麗な青色の結晶が一つだけたたずんでいる。

「これ……え?」

 気になって手に取ると、触れたところからみるみるうちに紫色へと変化していった。

「ほう……なるほどね。で、鉱沙はこの石を知っているか、ということを聞きたかったわけか」
「……分かりますか?」
「いや、私は分からない……けど、知っていそうな人はいるね」
「本当ですか!?」
「ああ、後日行ってみるよ。……とりあえず、この書類は貰っておくね」
「はい。よろしくお願いします」

 そのまま、私はこの倉庫から立ち去った。



◆◇◆ ◆◇◆



「……で、本当に知っている人は居るのか?」
「銅錆、いたのかよ」

 背後からの声に私は振り向いた。

「安心しろ。私は顔が広いからね」

 そう言う私を鋭い目つきで見た後。そうか、と一言置いたまま木の葉を撒き散らた。
 目を開けた時、銅錆は居なくなっていた。
 弱い風が吹く。

「やれやれ」

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