project史縫というシリーズについてまとめたwikiです。

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 見知らぬ廃墟。
 冷たい風。
 鋭い陽光。
 物静かな空気。
 独特な雰囲気が漂う廃工場の内部を一人の少女が彷徨っていた。

 何があったのか分からないが、なぜか私はこの工場の中で目が覚めた。
 コンクリートの上で倒れていたからなのか、少し頭が痛い。
 ぼやけた視界を見渡しても、見覚えのある物は何一つない。普通のドラム缶に普通のガスボンベ。普通なのに、普通ではないような、そんな感覚がする。
 ふらつく足で辺りを歩いてみても、特に思い出せることはない。

 ……それにしても、ここはどんな場所なのだろう。私は寝ていたはずなのに……というか、私は寝る前に何をしていたっけ。なにか重要なことをしていたような気がするのだけど……。
 と、後ろから足音が聞こえた。

「あら、起きたのね」

 いきなりの声に驚き振り返ると、つい先ほどまで作業をしていたような服装の人が見えた。

「静華。ちょっとこっちに来て」
「静……華?」
「あぁ……そのことも説明するから、貴女。ちょっとこっち来て」

 何か分からぬまま、そう言われるがまま、私は後ろをついて行った。


◆◇◆ ◆◇◆


 私は工場の中にある応接室のような場所に連れられ、錆びた金属製の椅子に座った。一方、あの人は私の向かいに座っている。
 辺りを見渡してみると、錆びたパイプやぼろぼろのトタン板が散乱していた。廃墟を無理やり改造している途中かのように見える。
 ふと壁を見てみると、”4月17日”を記した日めくりカレンダーが掛けられてあった。そしてその横にはカラフルな卵。

「私は鉱沙。”鉱石”の”鉱”に”曼殊沙華”の”沙”で、鉱沙よ」
「よ、よろしくお願いします」
「さて、静華。あなたがここに来る前に何があったか知ってる?」
「しず……はな?」
「あぁ……そうよね。貴女は静華って言う名前なのよ」
「はぁ……」

 私の名前は……静華、か。
 何かひっかかるような気もするけれど、まだ頭が回っていないだけだろう。

「それで、思い出せる?」
「いえ……それが思い出せなくて……ただ」
「ただ?」
「なにか……自殺したいみたいなことを思っていたような気がして……」

 私がそう言うと、彼女は少し頭を抱えたが納得したような表情を浮かべた。

「ま、過去のことはどうでもいいわ。それよりも、これからの生活が大事だから」

 そう言うと、鉱沙さんは手書きの地図を渡してくれた。

「この”鉱業地区”ってところが今私たちがいる地区で、その横にある”住宅地区”で寝泊まりできるようになる……予定」
「よて……い?」
「まだ整備されてなくて、とてもじゃないけど住めないの」
「じゃあ鉱沙さんはどこに住んでるんですか?」
「ここ」

 そう言いながら、地面を指さした。

「ここに仮眠室があるからそこで寝てるの」
「なるほど……」
「それでここでの生活なんだけど……」


 それから、私たちはここでの生活などについてのことを教えてもらった。
 ほとんどが知っていたものだったが、念のためしっかりと聞いておくことにした。


「ま、そんな感じだから、今日はもう寝ましょう」
「はい。分かりました」
「あ、それと、明日からここで作業してもらうからよろしく」
「え? ちょっと待ってそんなこと聞いてないですよ!?」

 そう言っても、鉱沙さんは見向きもせずに部屋から出て行ってしまった。


 不安以外の感情が無かった。

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