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ameagari_fuhto 2022年11月11日(金) 11:19:22履歴
見知らぬ廃墟。
冷たい風。
鋭い陽光。
物静かな空気。
独特な雰囲気が漂う廃工場の内部を一人の少女が彷徨っていた。
何があったのか分からないが、なぜか私はこの工場の中で目が覚めた。
コンクリートの上で倒れていたからなのか、少し頭が痛い。
ぼやけた視界を見渡しても、見覚えのある物は何一つない。普通のドラム缶に普通のガスボンベ。普通なのに、普通ではないような、そんな感覚がする。
ふらつく足で辺りを歩いてみても、特に思い出せることはない。
……それにしても、ここはどんな場所なのだろう。私は寝ていたはずなのに……というか、私は寝る前に何をしていたっけ。なにか重要なことをしていたような気がするのだけど……。
と、後ろから足音が聞こえた。
「あら、起きたのね」
いきなりの声に驚き振り返ると、つい先ほどまで作業をしていたような服装の人が見えた。
「静華。ちょっとこっちに来て」
「静……華?」
「あぁ……そのことも説明するから、貴女。ちょっとこっち来て」
何か分からぬまま、そう言われるがまま、私は後ろをついて行った。
◆◇◆ ◆◇◆
私は工場の中にある応接室のような場所に連れられ、錆びた金属製の椅子に座った。一方、あの人は私の向かいに座っている。
辺りを見渡してみると、錆びたパイプやぼろぼろのトタン板が散乱していた。廃墟を無理やり改造している途中かのように見える。
ふと壁を見てみると、”4月17日”を記した日めくりカレンダーが掛けられてあった。そしてその横にはカラフルな卵。
「私は鉱沙。”鉱石”の”鉱”に”曼殊沙華”の”沙”で、鉱沙よ」
「よ、よろしくお願いします」
「さて、静華。あなたがここに来る前に何があったか知ってる?」
「しず……はな?」
「あぁ……そうよね。貴女は静華って言う名前なのよ」
「はぁ……」
私の名前は……静華、か。
何かひっかかるような気もするけれど、まだ頭が回っていないだけだろう。
「それで、思い出せる?」
「いえ……それが思い出せなくて……ただ」
「ただ?」
「なにか……自殺したいみたいなことを思っていたような気がして……」
私がそう言うと、彼女は少し頭を抱えたが納得したような表情を浮かべた。
「ま、過去のことはどうでもいいわ。それよりも、これからの生活が大事だから」
そう言うと、鉱沙さんは手書きの地図を渡してくれた。
「この”鉱業地区”ってところが今私たちがいる地区で、その横にある”住宅地区”で寝泊まりできるようになる……予定」
「よて……い?」
「まだ整備されてなくて、とてもじゃないけど住めないの」
「じゃあ鉱沙さんはどこに住んでるんですか?」
「ここ」
そう言いながら、地面を指さした。
「ここに仮眠室があるからそこで寝てるの」
「なるほど……」
「それでここでの生活なんだけど……」
それから、私たちはここでの生活などについてのことを教えてもらった。
ほとんどが知っていたものだったが、念のためしっかりと聞いておくことにした。
「ま、そんな感じだから、今日はもう寝ましょう」
「はい。分かりました」
「あ、それと、明日からここで作業してもらうからよろしく」
「え? ちょっと待ってそんなこと聞いてないですよ!?」
そう言っても、鉱沙さんは見向きもせずに部屋から出て行ってしまった。
不安以外の感情が無かった。
冷たい風。
鋭い陽光。
物静かな空気。
独特な雰囲気が漂う廃工場の内部を一人の少女が彷徨っていた。
何があったのか分からないが、なぜか私はこの工場の中で目が覚めた。
コンクリートの上で倒れていたからなのか、少し頭が痛い。
ぼやけた視界を見渡しても、見覚えのある物は何一つない。普通のドラム缶に普通のガスボンベ。普通なのに、普通ではないような、そんな感覚がする。
ふらつく足で辺りを歩いてみても、特に思い出せることはない。
……それにしても、ここはどんな場所なのだろう。私は寝ていたはずなのに……というか、私は寝る前に何をしていたっけ。なにか重要なことをしていたような気がするのだけど……。
と、後ろから足音が聞こえた。
「あら、起きたのね」
いきなりの声に驚き振り返ると、つい先ほどまで作業をしていたような服装の人が見えた。
「静華。ちょっとこっちに来て」
「静……華?」
「あぁ……そのことも説明するから、貴女。ちょっとこっち来て」
何か分からぬまま、そう言われるがまま、私は後ろをついて行った。
◆◇◆ ◆◇◆
私は工場の中にある応接室のような場所に連れられ、錆びた金属製の椅子に座った。一方、あの人は私の向かいに座っている。
辺りを見渡してみると、錆びたパイプやぼろぼろのトタン板が散乱していた。廃墟を無理やり改造している途中かのように見える。
ふと壁を見てみると、”4月17日”を記した日めくりカレンダーが掛けられてあった。そしてその横にはカラフルな卵。
「私は鉱沙。”鉱石”の”鉱”に”曼殊沙華”の”沙”で、鉱沙よ」
「よ、よろしくお願いします」
「さて、静華。あなたがここに来る前に何があったか知ってる?」
「しず……はな?」
「あぁ……そうよね。貴女は静華って言う名前なのよ」
「はぁ……」
私の名前は……静華、か。
何かひっかかるような気もするけれど、まだ頭が回っていないだけだろう。
「それで、思い出せる?」
「いえ……それが思い出せなくて……ただ」
「ただ?」
「なにか……自殺したいみたいなことを思っていたような気がして……」
私がそう言うと、彼女は少し頭を抱えたが納得したような表情を浮かべた。
「ま、過去のことはどうでもいいわ。それよりも、これからの生活が大事だから」
そう言うと、鉱沙さんは手書きの地図を渡してくれた。
「この”鉱業地区”ってところが今私たちがいる地区で、その横にある”住宅地区”で寝泊まりできるようになる……予定」
「よて……い?」
「まだ整備されてなくて、とてもじゃないけど住めないの」
「じゃあ鉱沙さんはどこに住んでるんですか?」
「ここ」
そう言いながら、地面を指さした。
「ここに仮眠室があるからそこで寝てるの」
「なるほど……」
「それでここでの生活なんだけど……」
それから、私たちはここでの生活などについてのことを教えてもらった。
ほとんどが知っていたものだったが、念のためしっかりと聞いておくことにした。
「ま、そんな感じだから、今日はもう寝ましょう」
「はい。分かりました」
「あ、それと、明日からここで作業してもらうからよろしく」
「え? ちょっと待ってそんなこと聞いてないですよ!?」
そう言っても、鉱沙さんは見向きもせずに部屋から出て行ってしまった。
不安以外の感情が無かった。