project史縫というシリーズについてまとめたwikiです。

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 白い壁で囲まれた部屋に、沈黙が流れる。
 琉璃の目を見つめる私の姿は、まるで追い詰められた獲物の姿そっくりだろう。しかし、琉璃は一向にしてその銃口をこちらに向けることはなかった。ましてやそれは壁へと向けられただけだ。

 なつかしいな、と思い過去の記憶を思い出す。







 ――私は小さい頃から陰で暮らしていた。目立った人間関係も無く、孤独の毎日を過ごしてきた。学校に行っても特にすることはなく、昼寝か読書をするだけ。もちろん友達は居ない。
 だけど、母だけは私を愛してくれた。
 私は父の顔を見たことはなかったけれど、それでも母は悲しむ素振りを見せなかった。

 そんな生活も、歯車が狂いだすのは一瞬だった。
 それが、つい先日の出来事。

 母が事故に遭った。見渡しの悪い交差点での交通事故。買い物帰りの母を、信号無視の車が轢いた。
 
 私を愛してくれた世界でたった一人の存在が、他人の不注意で消し去られるなんて。私一人を置いて、逝ってしまっただなんて。
「もっと、愛されたかった、なぁ……」
 自然と涙が零れる。

 できることなら、この今。この瞬間に「助けて」が言いたい。助けてと言って、助けてもらえるような。
 だけど今はこんなこと叶わない。私を愛してくれる人なんて、知っている人なんて。誰もいないから。
 遺書は書いていない。
 書いたところで、だ。読む人なんてだれもいないだろう。

 私は立ち上がり、一番近い木の太い枝に縄をかけた。丈夫な枝に、丈夫な縄。予備の縄はあるけれど、多分使わないだろう。置いていこう。
 首をかけて、ぶら下がる。
 瞼は自然と閉じ、ゆっくりと意識が遠のいていった。







 そうだ。私は自殺したんだ。
 自殺したのに、まだ生かされている。
 私は目の前の人物に向ける。
「ねえ、神様。なんで私は生かされてるの? 教えてよ」

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