最終更新: ameagari_fuhto 2023年01月29日(日) 22:51:53履歴
◆解説ページ ※ネタバレを多く含みます
◆privatter
「……書けない」
暗い空を映す窓。その内側には散乱した部屋の中で唸る1人。白紙のテキストファイルを眺めながら時間を貪り続けている。
「思いつかない 」という言葉が、迫りくる締め切りに追われる脳の中を木霊していた。
私は趣味で小説を書いているだけの人間だ。仕事がない日は、こうやってパソコンの前に座って新しい小説を書くのが日課となっている。
……ただ、完成したものは1つも無い。どれも中途半端に終わっている。
どれだけ考えてもダメ。どれだけ書いてもダメ。
才能なんて無いから、こうやって時間に流されるしかなかったんだ。どれだけ足掻いても、どれだけ喚いても、アイデアが生み出されない。
ふと、窓の外を眺めた。
冷たさの中に新しさがある風が流れるのを感じた。
「……ダメだな。短すぎる」
久しぶりに小説を書こうと思い、テーマをスランプにして書いてみた……というか書こうとしたのだが、短い。短すぎる。
そもそもこれは小説か?というほどにダメな文章になっている。
だけれど、今の僕にはこうすることしか出来ない。前はもう少し上手な文章が書けた気がするんだけどな……。
「気晴らしに外でも歩くか。」
重い腰を上げ、外へと繋がる扉へと向かった。
ガチャ
外はもう陽が落ち、暗さだけがたたずんでいた。
「……おかしいな……あの文章を書こうとした時はまだ昼だったはず……」
そう感じながら腕時計の針を見た。7の文字に短針がかぶさっている。
まさか自分はあんな文章を書くのにこんなにも時間がかかるとは思ってもいなかった。
ま、それだけ文章を書くのが下手なんだろう。
そう感じながら、僕はいつもの散歩道を進んで行った。
――水たまりのあるアスファルト。道路に沿ってぼんやりと照らす蛍光灯。風に揺られる街路樹。明るいコンビニの光。
昼に見た時とはまた違った雰囲気の街並みに、僕は惹かれていった。
数十分ほど歩くと、河川敷が見えてきた。
昼間は子供連れの親などが集まるのだが、今の時間帯は散歩に来ている人がまばらに見えるだけだった。
「ふぅ……」
僕は近くにあったベンチに腰をかけ、暗い空を眺めた。相変わらず星のない空だ。
……そういえば、星が映る夜空を見たのはいつだろう。数年前にキャンプ場で見たのを覚えているが、それ以降にもあったはずだ。
あ、と思い出した。
確かどこかの高原で見た覚えがある。少し古い神社の寝室で見た覚えが……あれ、そういえば青い髪の人と銀髪の人も居たような……。
曖昧な記憶だったため夢だったのかな、と思いながらも僕は立ち上がった。
「……久しぶりに近所の神社にも行ってみるか」
僕が小さい頃によく遊びに行っていた場所。名前は木野森神社。
何か思い出せるかもしれないな、と思いながら道を進んで行った。
――僕の名前は風街紘。自由気ままに生きているただの一般人さ。
◆privatter
「……書けない」
暗い空を映す窓。その内側には散乱した部屋の中で唸る1人。白紙のテキストファイルを眺めながら時間を貪り続けている。
「思いつかない 」という言葉が、迫りくる締め切りに追われる脳の中を木霊していた。
私は趣味で小説を書いているだけの人間だ。仕事がない日は、こうやってパソコンの前に座って新しい小説を書くのが日課となっている。
……ただ、完成したものは1つも無い。どれも中途半端に終わっている。
どれだけ考えてもダメ。どれだけ書いてもダメ。
才能なんて無いから、こうやって時間に流されるしかなかったんだ。どれだけ足掻いても、どれだけ喚いても、アイデアが生み出されない。
ふと、窓の外を眺めた。
冷たさの中に新しさがある風が流れるのを感じた。
「……ダメだな。短すぎる」
久しぶりに小説を書こうと思い、テーマをスランプにして書いてみた……というか書こうとしたのだが、短い。短すぎる。
そもそもこれは小説か?というほどにダメな文章になっている。
だけれど、今の僕にはこうすることしか出来ない。前はもう少し上手な文章が書けた気がするんだけどな……。
「気晴らしに外でも歩くか。」
重い腰を上げ、外へと繋がる扉へと向かった。
ガチャ
外はもう陽が落ち、暗さだけがたたずんでいた。
「……おかしいな……あの文章を書こうとした時はまだ昼だったはず……」
そう感じながら腕時計の針を見た。7の文字に短針がかぶさっている。
まさか自分はあんな文章を書くのにこんなにも時間がかかるとは思ってもいなかった。
ま、それだけ文章を書くのが下手なんだろう。
そう感じながら、僕はいつもの散歩道を進んで行った。
――水たまりのあるアスファルト。道路に沿ってぼんやりと照らす蛍光灯。風に揺られる街路樹。明るいコンビニの光。
昼に見た時とはまた違った雰囲気の街並みに、僕は惹かれていった。
数十分ほど歩くと、河川敷が見えてきた。
昼間は子供連れの親などが集まるのだが、今の時間帯は散歩に来ている人がまばらに見えるだけだった。
「ふぅ……」
僕は近くにあったベンチに腰をかけ、暗い空を眺めた。相変わらず星のない空だ。
……そういえば、星が映る夜空を見たのはいつだろう。数年前にキャンプ場で見たのを覚えているが、それ以降にもあったはずだ。
あ、と思い出した。
確かどこかの高原で見た覚えがある。少し古い神社の寝室で見た覚えが……あれ、そういえば青い髪の人と銀髪の人も居たような……。
曖昧な記憶だったため夢だったのかな、と思いながらも僕は立ち上がった。
「……久しぶりに近所の神社にも行ってみるか」
僕が小さい頃によく遊びに行っていた場所。名前は木野森神社。
何か思い出せるかもしれないな、と思いながら道を進んで行った。
――僕の名前は風街紘。自由気ままに生きているただの一般人さ。