project史縫というシリーズについてまとめたwikiです。

 雲1つない青い空が限りなく広がり、ほのかな風が窓を超えて流れてくる。
 つい先日までピンク色のした花が咲いていた桜は、今となっては緑色の葉を身に着けた姿になっている。
 そんな景色を窓から眺める俺、狼月。先代巫女の水結さんと、この木野森神社の管理をすることが主な仕事だ。家事は神主の水夜岐と先代神主のミゾレさん、神事はクラオカミ様とタカオカミ様といったところだろうか。
 木野森神社はそれぞれの代で神主や巫女がいるが、いつでも変わることができる。そのため、何代かはそんなに重要視しないのだとか。まあ次の代は自分が決めないといけないらしいが。

 ふと時計に目を落とすと、針は真上を指していた。足音と食器の音が聞こえる。
「昼ごはんできたよー」
「はーい」
 特注で作ってもらったナイフを机に置き、重い腰を持ち上げた。

 ほのかに香る焼き色の匂いに連れられながら居間に行くと、二人分の野菜炒めがあった。
「野菜炒めか……おいしそうだな」
 食欲のそそられるような焼き目のつく豚肉と野菜。それに白い湯気をたてて輝く白ご飯。「おいしそう」という言葉以外出てこない。
「じゃ、いただきます」
「いただきます」
 一口、食べてまた一口。
 おいしい。やっぱり水夜岐の作るご飯は美味しい。
「これね、狼ちゃんに教えてもらった人の所で買ったの」
「ああ、需品商人団の人か」
 需品商人団とは、この史縫高原と麓の街を行き来して物を売買してくれる人達のことだ。俺もたまに買いに行く。
 水夜岐にその人達のことを教えて以来、水夜岐は頻繁に通うようになった。
 ま、そんなことはあまり気にしなくてもいいだろう。
「……それにしてもおいしいな」
 ぽつりと呟いたはずだったが、どうやら水夜岐の耳に入っているらしく、
「でしょ! 今日は上手く作れたんだよね!」
と、自信満々な笑みを浮かばせていた。
 そんな水夜岐の顔に見蕩れていた。

 食べ進めていくうちに、こころなしかいつもの食事よりもおいしいのではないかと思うようになった。
 これを二人で食べるのは少しこころもとないが……
「ところで、ミゾレさん達は?」
「ミゾレさんは水結さんと一緒に出掛けたらしいよ。昼ごはんも要らないってさ」
 そう言い、水夜岐は残りのご飯を食べ進める。
 ミゾレさん達は珍しく出掛けたのか。いつもなら近くの川を散歩することが多いんだが、今日は何か特別な用事があったんだろう。そう考えながら、再度箸を持つ。
 ふと窓に目をやると、透き通った空が見えた。
 どこまでも広がっている。

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